1: グロリア(東京都) 2013/09/09 00:43:33 ID:LBjQsoGd0
今週の本棚・この3冊:小林秀雄=石原千秋・選

 <1>無常という事(『モオツァルト・無常という事』新潮文庫所収/546円)

 <2>常識について(角川文庫/品切れ)

 <3>考えるヒント(文春文庫/590円)

 没後三〇年記念だったのだろう、今年のセンター入試に小林秀雄が出題され、国語の平均点が下がって話題になった。予備校関係者によると、
問題文を見て受験生が泣きだしてしまった会場が複数確認されているという。問題文を見て、これはひどいと思った。はじめの一字「鐔(つば)」にいきなり注がついているのだ。
つまり、問題作成者は受験生がテーマとなっている「鐔」について知らないと認識していながら出題したことになる。これは非常識だ。小林秀雄がというよりも、問題文の選定がまちがっていた。

 そういう私は、高校生時代から小林秀雄の大ファンである。『本居宣長(もとおりのりなが)』が刊行されたときには、どうしても手に入れたくて、
大きな書店を何軒も探し回ったものだ。今回は大物よりも、伝説の名文が収められている、私の愛読した文庫を挙げておこう。現在は、全集を出している新潮社の文庫に比較的多くの作品がある。

 『無常という事』は、何と言っても「美しい『花』がある、『花』の美しさという様なものはない」という名文(かな?)で多くの読者を悩ませた、
能の「当麻(たえま)」について書いた随筆「当麻」だろう。これは、「美しい花」という存在はあるが、「美しさ」は人間が勝手に作り出した観念にすぎないから信ずるに値せず、と言っているのだろう。
こういう姿勢は、「マルクス主義文学」など「様々なる意匠」にすぎないと論じた初期の評論以来一貫している。


http://mainichi.jp/feature/news/20130908ddm015070013000c.html
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